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2025.10.20

コーティングの撥水性が落ちても被膜が無くなったわけではない

車を所有している方にとって、ボディコーティングは車の美しさを保つ上で欠かせない存在です。新車を購入した際にディーラーで施工されるガラスコーティングや、専門店で施工する高耐久コーティングなど、種類はさまざまですが、多くのオーナーは「水を弾く」「汚れが付きにくくなる」といった効果を期待して施工しています。しかし、施工から数か月、あるいは数年経過した頃、「あれ、撥水性が落ちてきた…」と感じることがあります。このとき、車のボディにコーティングの被膜がなくなったと勘違いしてしまう方も少なくありません。しかし、実際には撥水性が落ちても、コーティングの被膜自体はまだ存在していることがほとんどです。

撥水性の低下=コーティングの効果がなくなったわけではない

まず知っておきたいのは、コーティングには「撥水性」と「保護機能」という二つの役割があるということです。撥水性は、文字通り水を弾く性質であり、雨や水滴がボディに付着しにくくなる効果です。一方で、コーティングの主な目的はボディを外的要因から保護することにあります。紫外線や酸性雨、鳥の糞や排気ガスなどから塗装を守るのが本来の役割です。

撥水性は施工直後が最も高く、時間の経過とともに徐々に弱まります。これはコーティング被膜が「摩擦や紫外線、洗車による水流などで表面の油分やフッ素、シリコンなどの親水・撥水成分が洗い流される」ためです。しかし、この現象は表面の性質が変化しているだけであり、被膜自体がなくなったわけではありません。車の塗装面はまだコーティングによって保護されているため、ボディの劣化は大幅に抑えられているのです。

撥水性低下の原因とは

撥水性が落ちる原因はいくつかあります。まず最も一般的なのは洗車や雨による摩擦です。特に、砂や泥などの微細な粒子が付着したまま洗車すると、表面のコーティング層に微細なキズがつき、撥水性が低下します。また、紫外線の影響も無視できません。太陽光に含まれる紫外線はコーティングの分子構造を徐々に変化させるため、撥水性を保つ成分が劣化していきます。さらに、酸性雨や花粉、排気ガスに含まれる化学物質なども、撥水性の低下に関与します。

一方で、コーティング被膜自体は比較的耐久性が高く、完全に剥がれるまでにはかなりの時間がかかります。つまり、表面の撥水性が弱まったとしても、ボディの保護性能が失われているわけではないのです。ここが多くのオーナーが誤解しやすいポイントです。

撥水性が落ちたときにできる対処法

撥水性が低下しても、慌てて再コーティングを行う必要はありません。まずは表面の汚れや油分を落とすことで、ある程度の撥水性を回復させることができます。専用のメンテナンスシャンプーやコーティング用メンテナンス剤を使用すると、被膜を傷めずに表面を整えることができます。

また、コーティング被膜がまだ存在している場合は、簡単なメンテナンスで撥水性を補うことも可能です。市販の撥水スプレーやワックスを併用することで、水滴の弾き方を改善することができます。この場合、元のコーティング被膜を守りつつ、表面の性質だけを補う形になります。

重要なのは、「撥水性の低下=コーティングの寿命が尽きた」と早合点しないことです。撥水性が弱まっても、塗装を保護するという本来の目的はまだ果たされています。むしろ、定期的な洗車や簡単なメンテナンスを行うことで、長期間にわたってボディを美しく保つことができます。

撥水性と耐久性の関係を理解する

コーティングには大きく分けて撥水性タイプと親水性タイプがあります。撥水性タイプは水滴が球状になって流れ落ちやすく、見た目にも「水を弾く」感覚が楽しめます。一方で親水性タイプは水が薄く広がり、汚れと一緒に流れやすい性質を持っています。どちらも塗装保護の役割は同じで、見た目の水の弾き方が違うだけです。

撥水性タイプは特に施工直後の見た目が華やかですが、時間が経つと水の弾き方が弱まります。これは劣化ではなく「表面の特性変化」であり、耐久性には直接関係しません。逆に、親水性タイプは目に見える撥水の効果は少なくても、保護性能は長持ちすることがあります。コーティングの性能を正しく理解することで、撥水性の変化に一喜一憂せず、適切なメンテナンスを行うことができます。

日常でできる簡単な撥水性維持法

洗車時の注意

高圧洗浄機を使う場合は、塗装に強い水流を直接当てないようにしましょう。また、砂や泥などの汚れを柔らかいスポンジやマイクロファイバークロスで優しく落とすことが大切です。

定期的なメンテナンス剤の使用

コーティング用メンテナンス剤を洗車後に使用すると、表面の油分や撥水成分を補充し、撥水性を回復させることができます。

ワックスや撥水スプレーの併用

元のコーティング被膜を傷めない専用ワックスを使うことで、撥水性の低下を補い、見た目の艶も維持できます。

保管環境の工夫

直射日光や酸性雨、花粉の影響を避けるために、できるだけ屋根付きの駐車場を利用することも効果的です。

 

まとめ

車のコーティングは、美しさを保つだけでなく、塗装を守る重要な役割を担っています。撥水性が低下しても、それは「表面の性質が変化した」だけであり、コーティングの被膜自体はまだ存在していることがほとんどです。重要なのは、見た目の撥水性に惑わされず、適切なメンテナンスを行いながらボディの保護性能を維持することです。

コーティングの効果を最大限に引き出すためには、日頃の洗車やメンテナンスを丁寧に行うことが欠かせません。そして、撥水性の低下をネガティブに捉えるのではなく、被膜がまだ車を守っているという事実を理解することが、長期的に美しい車を維持する鍵となります。

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