お知らせ・コラム

NEWS &
COLUMN
お知らせ・コラム

2025.09.10

下地処理のレベルで変わる、コーティングの仕上がりとその真価

下地処理のレベルで変わる、コーティングの仕上がりとその真価

 

クルマに乗る楽しみは人それぞれですが、愛車をきれいに保ちたいという気持ちは、多くのオーナーに共通する願いでしょう。洗車をまめに行い、ワックスやコーティングを重ねて輝きを維持する人もいれば、プロに依頼して本格的なコーティングを施す人もいます。

こうした「コーティング施工」は、塗装面を保護し、美しい艶を長期間持続させるための手段として広く普及してきました。しかし、同じ「コーティング」をしたとしても、仕上がりに大きな差が出ることをご存じでしょうか。その差を生む最大の要因こそが「下地処理」のレベルなのです。

 

 

下地処理とは何か

 

まず「下地処理」とは何を指すのでしょうか。簡単に言えば、コーティング剤を塗布する前に行う、塗装表面の状態を整える工程のことです。新車であっても、保管中や輸送中についた微細なキズや鉄粉、油膜などが付着していることが多く、そのままコーティングをすると、仕上がりが曇って見えたり、耐久性が落ちたりしてしまいます。

 

下地処理の内容は施工者やショップによって異なりますが、一般的には以下のような工程を指します。

 

1.洗車
砂やホコリなどの大まかな汚れを落とす基本作業。これを怠ると、次工程に影響します。

 

2.鉄粉除去・ケミカル処理
走行中に付着する鉄粉や水アカ、スケール汚れを専用の薬剤で除去。

表面がザラついたままだと、仕上がりに差が出ます。

3.研磨(ポリッシング)
塗装表面の小キズやくすみを除去し、平滑で鏡のような面を作り出す工程。

ここでの仕上げが最終的な光沢の決め手になります。

4.最終洗浄・脱脂
研磨で出た粉や油分を洗い流し、完全に乾燥させた後に脱脂を行い、

コーティング剤の密着できる状態で初めてコーティング施工に移行できます。

 

 

つまり、下地処理とは「塗装を一度リセットし、最良のキャンバスを用意する作業」だと言えるでしょう。

 

 

下地処理が仕上がりを左右する理由

 

 

コーティング剤は塗装の表面に「透明な保護膜」を作ります。この保護膜は、施工した時点の塗装面の状態をそのまま覆い、固定してしまうのです。もし塗装表面にキズや曇りが残っていれば、それがコーティングを通して透けて見えてしまいます。逆に、下地を丁寧に整えておけば、まるで鏡のような深い艶と光沢が生まれ、その美しさがコーティングによって長期間維持されます。

 

たとえるなら、家の壁に塗装をする前にパテ埋めや研磨をせずにペンキを塗るようなものです。凹凸や汚れが残っていれば、いくら高価な塗料を使っても仕上がりは美しくなりません。自動車の塗装も同じで、「表面をどれだけ整えられるか」が、美しさの鍵を握っているのです。

 

 

レベルの違いがもたらす差

 

 

では、下地処理の「レベル」とはどのような違いを指すのでしょうか。大きく分けると、以下のような段階があります。

 

  1. 簡易レベル
    洗車後に軽く鉄粉を除去し、そのままコーティングを塗布するケース。市販の簡易コーティングやディーラー施工で多く見られる方法で、手軽でコストも抑えられますが、仕上がりの透明感や持続性には限界があります。
  2. 標準レベル
    洗車・鉄粉除去・軽度の研磨を行ったうえで施工するもの。新車時に施工されるプロショップのコーティングでよく採用されるレベルで、艶・耐久性ともにバランスの取れた仕上がりが期待できます。
  3. 高レベル
    塗装を数段階に分けて研磨し、キズやシミを徹底的に取り除く本格的な下地処理。まるで新車以上の輝きを放ち、深みのある艶が得られます。ただし時間とコストはかかり、熟練した技術者の腕が試されます。

 

 

このレベルの差は、コーティング後すぐには分かりにくい場合もあります。しかし、数か月、数年と時間が経つにつれて、仕上がりの違いがはっきりと表れます。

 

 

下地処理を怠った場合に起こること

 

 

下地処理を軽視したままコーティングを行うと、以下のような問題が生じる可能性があります。

 

  • 艶が出ない、曇って見える
  • 小キズや水アカがそのまま閉じ込められる
  • コーティングの密着不良による早期劣化
  • 撥水や防汚性能の持続性が低下する

 

 

「せっかく高いお金を払ってコーティングをしたのに、数か月で効果が薄れた」という声の多くは、実は下地処理の不足が原因であることも少なくありません。

 

 

プロの技術が光る部分

 

 

下地処理の肝は「研磨」にあります。研磨と一口に言っても、コンパウンドの種類、バフの硬さ、回転数や圧力など、無数の要素が仕上がりを左右します。深いキズを消そうとすると塗装のクリア層を削りすぎてしまうリスクがあり、逆に浅い研磨では艶が引き出せないこともあります。ここに施工者の経験と技術力が大きく関わってきます。

 

また、下地処理後の「脱脂・洗浄」も軽視できません。研磨で出た油分や粉が残っていると、コーティングの密着を妨げ、効果が半減してしまうからです。最終的に「見えない部分」にまで気を配ることが、仕上がりの美しさと耐久性を決定づけます。

 

 

下地処理を意識するという選択

 

 

オーナーとしては、コーティングを検討する際に「どんな下地処理を行うのか」を必ず確認することが大切です。施工費用だけで判断せず、ショップがどこまで下地に手をかけてくれるのか、説明を受けて納得したうえで依頼すると、満足度は大きく変わります。

 

市販の簡易コーティングを楽しむ場合でも、洗車や鉄粉除去を丁寧に行ってから施工すれば、仕上がりは大きく向上します。つまり「下地処理の意識」を持つだけでも、日々のメンテナンスの質が高まるのです。

 

 

まとめ

 

 

コーティングの仕上がりは、単にコーティング剤の性能で決まるものではありません。その前段階にある「下地処理」のレベルこそが、美しさと耐久性を左右する最大の要素です。

 

プロの施工であれ、セルフメンテナンスであれ、「塗装面を整える」という意識を持つことが、愛車を長く美しく輝かせるための第一歩となります。コーティングを検討する際には、ぜひ「下地処理の質」に注目してみてください。そこに投資する価値は、時間が経つほどに実感できるはずです。

カテゴリ CATEGORY

過去の記事 ARCHIVE

2025

1

2

3

4

5

6

78910

11

12